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奈良県在住。日々のログとして書くことにします。

加藤陽子の示唆、心にしみます。

こんばんは。

 

待ってました!

 

加藤陽子の 近代史の扉 です。

 

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毎日新聞 2020年5月16日 オピニオンより

 

コロナ禍の下で暮らす私たちが、

 

心に留めておくべき基軸を示しています。

 

著者はこのように問題提起します。

 

 

神なき国の近代化を進めた日本、そこに住み人々は、自国や自国民に

 

対する確固とした評価軸を持たずに来てしまったのではないかとの疑念に

 

たどり着く。ならば、揺るぎない自らの評価軸を手に入れるにはどうすれ

 

ばよいのだろうか 

 

 

この問題提起に対する彼女の答えは2つです。

 

まず、一つ目歴史が教えてくれる。

 

太平洋戦争を取り上げ、彼女はこう述べています。

 

究極の他者たる敵国の行動を理解し、いわば相手になりきらねばならない

 

時、当時の政府がやっていたのは自国民への情報統制だった。(中略)

 

外国の情報を正確に伝えない日本のお家芸は今回のコロナ禍でも

 

随所で見られた。

 

武漢封鎖時の中国が体育館等を軽症者向け施設とした時、

 

その方策が未知の感染症対策の王道、つまり重症者向け病床確保の

 

ための出口戦略として注目し、説明した報道はあっただろうか。

 

初動ミスをカバーするための中国らしい人海戦術だと軽く見ていたのでは

 

ないか。

 

他者を公正に理解する態度、これが一つ目の答えになる。

 

 

 

 

2つ目、 

非常時といった同調圧力の強い社会に生きる際に役立つ機軸だ。

 

それは、自然権というもの、個人の自由権というもの、

 

いわゆる天賦人権論に信を置く態度である。(中略)

 

大西洋憲章というものを(中略)日本人を皆殺しすると決議した。(中略)

 

きゃつらに殺されてなるものか」

 

隊長は「自分の立場」で解釈し、軍隊の武装解除と皆殺しを等号で結び、

 

同胞を叱咤したのだろう。(中略)

 

 

特高警察がつかんでいた戦争末期の農民の「常識」の方が

 

正しかった。敵軍が上陸しても食料は必要だから作り手を殺しはしない

 

だろうと農民は泰然としていた。

 

最後に、非常時の空気がいかに人の理性を縛るか、

 

それを広島で敗戦を迎えた丸山真男の感慨から見ておきたい。

 

丸山はポツダム宣言第10項の基本的人権の尊重は確立せらるべし」

 

を読んで戦慄した。基本的人権という発想自体、戦時中には丸山の周囲

 

でさえ乏しかったのだ。丸山は気づく、この戦慄は覚えがあると。

 

それは35年の尾崎行雄が東大で行った演説を聞いての衝撃を思い起こさせ

 

た。個人の私有財産は、天皇といえども法律によらなければ一指もふれる

 

ことができない。これが憲法の趣旨だと尾崎は述べていた。

 

尾崎の精神の軸は、自然権自由権への強い確信から来ていた。

 

今こそ重要な基軸ではないか

 

 

 

 

 

 

心にしみますね。

 

 

 

皆さんは知らない間に彼女の著書に触れています。

 

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  高校日本史の定番 

 

『詳説日本史』 改訂版 山川出版社 

 

著作者の一人として彼女の名前が記されています。

 

 

私のイチオシは・・・

 

 

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『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』   新潮文庫

 

彼女の著書のは貴重な示唆があふれています。

 

戦争は敵対する国家の憲法や社会を成立させている基本原理に対する攻撃

 

というかたちをとるとルソーは述べたが(以下略)

 

前掲書 はじめに p11から

 

この認識を太平洋戦争の最高指導者たちが共有していたか?

 

おそらくノーです。

 

戦争を立案した、海大・陸大のエリートたちは?

 

これもノーでしょう。

 

この視点を教えてくれたのも

 

加藤陽子の著書です。

 

 

世の中に目を向けると

 

コロナ禍にかこつけて

 

よからぬ企みが進行中です。

 

大切なものが

 

壊されようとしています。

 

 寛容で自由な社会

 

守りたいですね。

 

 

では・・・

 

楽しい休日をお過ごしください。