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奈良県在住。日々のログとして書くことにします。

「水を石油に変える」? こんなことに望みを託した人達がいたんですね。

こんばんは。

 

奈良北西部、肌寒い夜になりました。

 

図書館で目に留まり、借りて読んでいます。

 

 

 

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『水を石油に変える人山本五十六、不覚の一瞬』

 

山本一生 文芸春秋 2017年6月30日

 

内容は・・・

 

真珠湾攻撃の三年前、

 

海軍省で三日三晩の夜を徹した実験が行われていた。

 

その「街の科学者」は

 

海軍次官山本五十六

 

後に「神風特攻」を考案する大西瀧治郎らの前で、

 

水をガソリンに変えるのだという。

 

石油の八割をアメリカからの輸入に頼る日本が、

 

来るべき日米戦に勝つための秘策になるのか?

 

戦争・石油・日本人をめぐる数奇な歴史ノンフィクション!

 

前掲書 表紙裏 より

 


日露戦争後、日本海軍の仮想敵国はアメリカ合衆国で、

 

石油をどう確保するかは最重要課題であったと思います。

 

どう思われますか?

 

こんな錬金術・・・あるわけないでしょう。

 

 

当時のエリートである日本海軍の指導者の中に実験に望みを託していた人達

 

がいた。

 

巻末の参考文献には、実験失敗とこれにまつわる逸話がいくつか挙げられています。

 

戦争が始まる数年前に、海軍の上層部が非科学的な実験に期待していた。

 

なんともお粗末な出来事です。

 

海軍ばかりではありません。

 

日本陸軍でもこんなお粗末なお話が・・・

 

一九四二年、空襲のことがそろそろ話題になりはじめたころ、軍の情報局

が「現時局の防空」という情報を発表しました。

「爆弾とか、焼夷弾は決して全部、うまく命中するものではない。百発の

中一発、精々五十発の中一発が命中すれば上出来である。従って、実際の

死傷者は一回二十機の空襲を受けて焼夷弾四千発、または爆弾四千発を投

下せられたとしたならば、直撃弾其の物では大体百人内外の死傷であっ

て、誠に微々たるものであり、戦争する以上、当然忍ぶべき犠牲である」

 

空襲恐るるに足らずという陸軍中佐難波三十四の分析です。不正確な

 情報の標本のような文章です。

 

辰濃和男 『文章の書き方』岩波新書 P196 より

 

 

日本本土の空襲の現実との乖離がすご過ぎます。

 

現実を直視せず、自分に都合の良いデータだけで判断する悪例ですね。

 

 

今はどうでしょう?

 

このような事をしていないか?

 

見守りたいと思います。

 

楽しい夜をお過ごしください!