私が暮らす奈良北西部を舞台にした映画「天使のいる図書館」が完成しました。
大和高田・御所・香芝・葛城・広陵町を舞台に、葛城山、当麻寺など葛城各地の史跡
を使いながら、新人司書の主人公が地域の人々と心を通わせながら自分に向き合い、
成長してゆく姿を描いているそうです。
NHKの朝ドラに出演していた小芝風花さんが新人司書を演じています。
奈良の空気感を表現することを目指していて共演は香川京子さん・森本レオさん。
全国公開は2月18日からで順次公開されます。
存在感の希薄な奈良県ですが、この機会に皆さんに知っていただければと思います。
司書といえば岩井俊二の映画「ラヴレター」のラストシーンを思い出します。
最近流行った遊びに ”藤井樹探しゲーム” というのがあった。
ある日、男子の久保田が偶然、図書室であるカードを見つけた。
図書カードにただひとり、藤井樹という名前の書いてあるカードだ。
それはその本が藤井樹ただひとりしか借りていないことを証明していた。
ところがそうゆう本が何冊も出てきた。
カードに藤井樹の署名しかない本だ。
久保田はそれを探すのに夢中になった。
そのうちそれが仲間の図書委員にも知れ渡り、いつのまにかみんなが競っ
て探すようになった。
それが”藤井樹探しゲーム”である。
ある日、また一枚新たなカードが見つかった。
発見者の鈴木遥香は、このカードだけは本来持っている人にあげるべきだ
と考え、仲間たちと一緒にその家におもむいた。
その家とはつまり、あたしの家である。
突然現れたお客さんにあたしは驚いた。
生徒たちは照れくさそうにモジモジしていたが、そのうち遥香が
「ちょっといいモノを見つけたので」
そういって一冊の本をあたしの目の前に差し出した。
それはマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』。
彼が置いて行ったあの本だった。
唖然とするあたしに生徒たちは、裏です、裏のカード、とはやしたてた。
言われるままにあたしは、裏のカードを見た。
そこには藤井樹の署名があった。
しかし生徒たちはまだ裏です、裏ですと言っている。
わけもわからないまま、あたしは何気なくそのカードを裏返した。
あたしは言葉を失った。
それは中学時代のあたしの似顔絵だった。
ふと気づくと彼女たちが興味津々にあたしの顔を覗きこんでいる。
あたしは平静を装いながらそれをポケットにしまおうとした。
ところがあたしのお気に入りのエプロンドレスには、あいにくどこにもポ
ケットはついていなかったのである。
岩井俊二 『ラヴレター』角川文庫p205~207 平成10年3月
どうしてこんなラストが描けるんでしょう。・・・脱帽です。
明日は若草山の山焼きです。
楽しい週末をお過ごしください。
みなさんおやすみなさい。・・・