こんばんは。
散歩から帰って、
夕食を終えたところです。
在宅勤務だと運動不足になるので、
毎日コースを変え、
高低差をみつけて
歩くように心がけています。
明治時代、
散歩を日課にしていた文豪がいました。
森鴎外です。
この『鴎外の坂』という本は
私の愛読書です。
※『鴎外の坂』 森まゆみ 中公文庫 p434より
この本の著者は森まゆみ
私と同い年で、
『谷中・根津・千駄木』を創刊し、
街・町歩きの魅力を多くの人に伝えています。
さて彼女にとって
鴎外はどう思われているのでしょうか・・・
著書から抜き出してみます。
家族の記憶の中にある「微笑する鴎外」が、
私の強く感得する鴎外である。(中略)
鴎外の小説は雪冤と弁駁の動機が強いということである。(中略)
一回かぎりの人生をそうにしか生きられなかった自分を、
身内であれ、周囲であれ、広汎な読者であれ、社会であれ、に対し、
小説というもっとも自由な形式で示してみせたのである。
(中略)
当時の男性としては、鴎外はむしろ”日常への目”を強く持った人では
なかったか (中略)
庭の花の開花を日記に逐一記し、
夕方は白山本郷の古本屋をのぞき、
夜中は子供の排尿の世話をする鴎外の姿からは、
むしろ彼が変哲のない
” いまという時をいかに大事にしたかが伝わってくる。(以下略)
前掲書 p424からp426
鴎外を読む時、
この指摘を心がけて読むようにしています。
鴎外は挫折と栄光の坂を
誠実に登り降りした人生を送りました。
年を重ねるにつれ、
鴎外の無駄をそぎ落とした文章にあこがれます。
彼の作品の中でイチオシは『雁』です。
東京で暮らしていた頃、
『雁』の舞台無縁坂を
何度も登り降りしました。
『鴎外の坂』の中でも
鴎外と愛人児玉せきとの暮らしが綴られています。
鴎外は切なかっただろうな・・・
そう思います。
コロナ禍で、
鴎外の真似をして
散歩するようになりました。
彼を見倣って
人生の坂を
誠実に登り降りしようと思います。
では・・・
楽しい週末をお過ごしください。