こんばんは。
令和2年1月24日 神戸新聞14版 オピニオンに掲載された記事です。
芥川賞・直木賞の発表があった夜、パブリックビューイングを行った
東京、大阪に住む地元出身作家の小説が両賞の候補となった。
ダブル受賞を祈って、発表の生放送をみんなで見守る企画である。
ざっと30人が集まった。
会場はまちの中心部にある八戸ブックセンターだ。ほかに例がないだろう。市が営む本屋さんである。
しばらく前、知人の案内で訪れていたので、あああの店内で・・・
と懐かしがこみあげた。
ビルの1階、300平方メートルほどの店内に哲学や人文化学、自然科学など約8千冊が並ぶ。「いのり」「まつりごと」「かんがえる」などの
テーマで分けているのがおもしろい。例えば「戦前・戦時中」の棚には,
野間宏の「真空地帯」、和辻哲郎の「風土」、そして昭和史関連。
ベストセラーや実用書などは置かない。まちの本屋さんを圧迫しないためだそうだ。いわば、なかなか売れない良書を売る。これが基本である。
小林真市長の発案で2016年12月にできた。18年度を見れば、人件費を
含めた歳出は9500万円、本の売上や寄付金などの歳入が4700万円。
その差、4800万円を一般財源でまかなう。この4800万円を多いと思うか、
妥当と考えるか。市民の受け止めはさまざまと、知人はいう。
水産都市にして工業都市。その23万人のまちに生まれた活字文化の拠点である。潤いの文化のひとしずくと思えば、はた目には十分役割を果たしているし、なにより意欲を買う。(以下略)
2020年1月24日 神戸新聞 14版 オピニオン 日々小論より
このような視点をもった地方都市が、
各地に現れてほしいですね。
国政があまりに暗愚で貧困なだけに、
このような地方の試みが心にしみます。
では・・・
みなさん、
おやすみなさい。