戦後、「暮らしの手帖」で辣腕を振るう編集者花森安治が花山伊佐次で登場しました。
ドラマでは、唐沢寿明さんが演じていますね。
大橋鎭子著 「暮らしの手帖」とわたし 平成二十二年五月二十一日 暮らしの手帖社
この本のなかに出てくるさりげない詩(私がそう思ったので・・)が
とても、大切なことを伝えていると思うのです。
この短い詩は『暮らしの手帖』表紙の裏にさりげなく書かれていました。
これは あなたの手帖です
いろいろのことが ここには書きつけてある
この中の どれか 一つ二つは
すぐ今日 あなたの暮らしに役立ち
せめて どれか もう一つ二つは
すぐに役に立たないように見えても
やがて こころの底にふかく沈んで
いつか あなたの暮らしを変えてしまう
そんなふうな
これは あなたの暮らしの手帖です
『暮らしの手帖』より・・引用
本にもいろいろな読み方がありますね。
「娯楽で読む」 「情報減として読む」など・・・人それぞれだと思います。
ところで、こんな本の読み方もあるのではないでしょうか?
わたしが私淑する経済学史 内田義彦に著書の中で教えられた読み方です。
新しい情報を得るという意味では、役立たないかもしれないが、情報を見
る眼の構造を換え、情報の受けとり方、何がそもそも有益な情報か、有益
なるものの考え方、求め方をー生き方をも含めてー変える。変えるといっ
て悪ければ新しくする。新規な情報は得られなくても、古くから知ってい
たはずのことがにわかに新鮮な風景として身を囲み、せまってくる、とい
うような「読み」があるわけです。
内田義彦著 『読書と社会科学』 岩波新書288 1985年1月
この本の中で、内田義彦は『暮らしの手帖』についてこう述べています。
この商品「案内」の雑誌は、読者の側での深い(古典書に接する場合にも似
た)読みを前提し、それを狙いに編集されていますね。事実、また読者も、
そういうふうに取扱っている。私の知る限りでも、この雑誌を長年身辺に
大切に保存している人が多い。私の手帖・カイエ・本として。
必要なところだけを読み、ゼロックスして、捨てるという読書界一般の
風潮の中で、あるいは、そうゆう本ばかり氾濫している出版界の現状
の中で、珍しいことと思います。
内田義彦 前掲書 p⒕
内田義彦が指摘した読み方を読者に要求する雑誌、それが『暮らしの手帖』です。
私も、初めてこの雑誌を手に取った時は驚きました。
広告が載っていないのです。
読者の購読料だけが収入源。・・
雑誌の記事の内容がすべてを決めます。・・・
だからといって奇抜な記事はないのです。
商品のテストや誰のでもできるホットホットケーキの作り方の記事など。
「何が面白いの?」
週刊誌・情報誌との違いにびっくりしました。(遥か昔ですが・・)
しかも寄稿者は超一流。
たとえば、朝永振一郎がこの雑誌のために書いた原稿は
全力投球で何度も何度も書き直していたそうです。(奥様のお言葉ですが)
原稿を書く人も依頼する側も一級品だったということです。
軽薄で軟派な大学生だった私には、当時、何も理解していなかったのです。
最近になって花森安治・大橋鎭子のメッセージはこれだったの?
自分の体験で確かめ、自分の体で考え抜くことを求める雑誌。・・・
出会えてよかったと思います。
最後に・・・・
わたしは、花森安治のメッセージの『手帳』を『ブログ』に読み替えています。
ブログを書きながら、いつのまにか、自分の視点・考え方を見つめなおしてゆく。
はてなブログで出会った皆さんと変わりあう中で、
そういうブログを綴ってゆきたいと思います。
おまけを・・・ひとつ・・・
このはてなブログに
≪はてなブログの目指す場所≫
というメッセージがあります。
一度読んでみてください。
はてなさんの想いが書かれています。
わたしは、この『マニフェスト』が気に入って、このブログをホームにしました。
では・・・・
楽しい休日をお迎えください。・・