先日紹介した『多縁社会』を読み終えて、今読んでいるのがこの本です。
『日本人はどこから来たのか?』海部陽介著 文藝春秋 2016年2月
日本に至る人類の「グレート・ジャーニー」についての新たなる仮設が示されます。
★私たちはどこから来たのか?
欧米で「海岸移住説」が定説になっているのは私も知っています。
しかし、アフリカを出た人類が中東から海岸沿いに広がっていったのは本当か?
問題提起が行われます。
まず、私たち以前の原人、旧人らの滅びてしまった人類の整理から始まります。
★ヒマラヤ南ルート
世界各地の遺跡年代のマッピングから4万8000年前に、ヒマラヤ山脈を南北に隔てて
分かれ拡散したことが述べられ、インドから東南アジアへ進んで「南ルート」をたどっ
た集団について述べてゆきます。
★ヒマラヤ北ルート
このルートの集団は予想よりも早く南シベリアに進み、北極圏に到達した人々までいた
ことが述べられます。
そして、モンゴルを経由し、4万年前頃、中国、朝鮮半島など東アジアに到達した
らしいことを石器の特徴から明らかします。
★日本への3つの進出ルート
日本で3万8000年前に突如人類遺跡が爆発的に表れたことが明らかにされ、それ以前
の遺跡には確証がないことが示されます。
無人の野だった日本へ、対馬、沖縄、北海道の3ルートから別々に、祖先が初めて
足を踏み入れたことを明らかにしてゆきます。
★対馬ルート 最初の日本人の謎
対馬ルートからの集団が最も早く日本に入ったようです。
本州に入るには海を越える必要があり、到着直後の遺跡からは世界最古
の往復航海を証拠が・・・
最初の日本人は航海者であると述べられています。
★沖縄ルート
沖縄に来た祖先は誰だったのか?
本州とまったく異なる遺跡証拠は「南ルート」を示唆しているのです。
しかし、それ証明する台湾から黒潮を横断すし100kmをはるかに超える航海での再現実
験をする必要がある。
★北海道ルート
北海道での人類出現が3ルートで最も遅い。
しかし、北海道の2万5000年まえの石器文化は「北ルート」と共通する。
やはり、シベリアから南下した祖先がいた。
★1万年後の再会
対馬から入ってきた「最初の日本人」は「ヒマラヤ南北ルート」をたどった
人たちが、東アジアで再会し、混じり合ったという説が示されます。
★ 日本人の成立
3ルートから日本列島に入ってきた人々は今の日本人といかにしてつながっているか
朝鮮半島、中国で発掘される人口や石器との比較、DNA研究で明らかになったこと
が述べられます。
以上 前掲書 目次から要約しました。
あまり読んだり、聞きたくないニュースばかりが耳に飛び込んできますが、
こんな壮大な仮説を読んで心をリフレッシュするのも悪くないなあと思います。
明日は朝から神戸に向かいます。
キラキラ輝く須磨の海をながめたいなあと思っています。
では・・・
楽しい木曜日をお迎えください。・・